ダイソーの「もしもノート」を買ったら、夫の行方不明だった株のことを思い出した。

ダイソーで文具コーナーをぶらぶらしていたら、赤い表紙のノートが目についた。
「もしもノート じぶんノート For my future」
110円。かわいらしいだるまの絵が描かれている。
プロフィール、日々のルーティン、お気に入りのもの、
ライフラインの契約先、IDやパスワード、連絡先リスト、
もしもの時に伝えたいこと——そんな項目が並んでいた。
ぱらぱらとめくりながら、しばらく立ちすくんだ。
これ、私に必要なやつだ。
もし私が突然いなくなったら...
家族は私のお金のことをどこまで把握できるだろうか。
■ 年間1,200億円以上が眠っている
亡くなった方の預金口座などが長年放置されると、
休眠預金として管理される。
毎年1,200億円以上のお金が、
持ち主や相続人に気づかれないまま眠っているという。
後から請求することはできる。
でも、そこにお金があることを知らなければ請求のしようがない。
知らなければ、そのまま眠り続ける。
家族のためにと思ってコツコツと積み上げてきた資産が
誰にも気付かれないまま眠り続ける・・・
それでは何のために残したのか分からない。
■ 夫の株、半分の行方がわからない
数年前のことを思い出した。
夫が定年まで勤めた会社の持株会の株を持っていた。
ずっと野村証券で管理されていたので、
手数料の安いネット証券への移管を勧めた。
夫はあまり乗り気ではなかったが、なんとか了承してもらい、
手続きを進めようとした。
ところが。
1,600株持っているはずなのに、確認できるのは半分だけだった。
年に2回、銀行口座には1,600株分の配当金が振り込まれている。
つまり株は確実に存在している。
なのに、その株がどこにあるのかわからない。
何十年も前の手続きはすべて夫任せだった。
私はノータッチ。
書類も夫管理。
そして肝心の夫の記憶も曖昧だった。
書類をひっくり返しても手がかりは出てこない。
結局、ほふり(証券保管振替機構)を使って照会し、
ようやく見つけることができた。
手続きは面倒だった。
費用もかかった。
時間もかかった。
でも——
夫の株は、私が「夫が株を持っている」と知っていたから探せたのだ。
では——
私の資産について、家族はどこまで知っている?
■ デジタル資産は「知っている」と「わかる」が違う
私はネットバンクとネット証券をメインに使っている。
通帳はない。
証券会社から紙の取引報告書も届かない。
お金の管理はスマホとパソコンが中心だ。
夫も子どもたちも、私が株をやっていることは知っている。
ネット銀行を使っていることも知っている。
でも、
どこの証券会社を使っているのか。
どこの銀行に口座があるのか。
資産全体をどうやって確認すればいいのか。
そこまでは知らないと思う。
日本株はまだ株主総会の案内や配当通知が郵便で届く。
けれど、それもいずれデジタル化されていくだろう。
米国株にいたっては、最初からほとんど何も届かない。
資産があることは知っていても、
どこに何があるかわからなければ探し出すのは簡単ではない。
夫の株の時に苦労した私だからこそ、それがよくわかる。
■ 110円のノートに書き出したこと
そこで、もしもノートに書き留めることにした。
利用している銀行。
証券口座の一覧。
お金の管理に使っているマネーフォワードMEのこと。
スマホとパソコンに入っていて、
資産全体はそこを見れば把握できること。
保険証券や登記簿などの重要書類の保管場所。
細かな残高やパスワードではなく、
家族が入口にたどり着ける程度の情報をまとめた。
子どもたちにも伝えた。
「何かあったらここを見てね」と。
旅行に出かける時には、
同居している息子に必ず一声かけるようにもしている。
万が一の時は、この書類を見てほしいと。

■ 母のことも他人事ではなかった
以前、知人が母親の認知症施設への入所手続きで困り果てていた。
入所にはまとまったお金が必要だった。
しかし本人は認知症が進み、自分で手続きができない。
家族がお金を管理しようとしても、
思うように進まず苦労したという。
それを聞いて、自分の高齢の母にも確認した。
通帳や重要書類はどこにあるのか。
何かあった時、家族が困らない状態になっているのか。
親のことも、自分のことも。
元気なうちに話しておく必要があるのだと思った。
■ お金を増やすことだけが資産管理ではない
投資を始めてから、お金を増やすことばかり考えてきた。
どの銘柄を買うか。
どの口座を使うか。
配当はいくら増えたか。
そんなことばかり。
でも最近は思う。
家族は私が株をやっていることを知っている。
ネット銀行を使っていることも知っている。
それでも、どこに何があって、
どう管理されているのかまでは知らない。
残された家族が困らないようにしておくことも、
大事な資産管理なのだと思う。
もしもの時は、案外突然やってくる。
ダイソーの110円のノートは、そのことを私に教えてくれた。

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