小金持泰子〜汗も涙も流さず静かに資産を増やす〜

必死に働いて節約もしてきた。それでも老後の不安は消えなかった。だから私は投資という選択肢を取った。投資(勿論、NISAも活用)と少しの現金で、静かに資産を積み上げている。汗も涙も流さない主義。だって、お化粧が崩れてしまうわ。

【突然送りつけられた家系図】我が家の資産が私に集中している理由


◼️おしどり夫婦の資産内訳

世の中の「おしどり夫婦」と呼ばれる皆さんは、
一体どれくらい厳密にお金の管理をされているのかしら。
我が家の総資産は、現在8000万円ちょい。
数字だけ見れば「まあまあ頑張ったじゃない」
と言える額かもしれないけれど、その内訳はかなりいびつ。
だって、夫の個人名義の資産なんて、株式を合わせても500万円に満たないのだから。

この前、夫にもしものことがあった時のために、
子供たち2人に半分ずつ自動的に保険金が入るよう600万円の契約をしたものだから、
彼の口座はいよいよすかすか。
さらに、住んでいるマンションの名義も、
3年前に「おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)」を使って、
すっかり私名義に変えてある。

「鬼嫁が旦那の身ぐるみを剥いだ」
なんて、
外野のクソ真面目な正義漢たちから野次が飛んできそうだけれど、
どうぞお好きに仰って。
これには、我が家の平穏と、私が30年以上必死に働いて守ってきた「今の家族」のための、
絶対に譲れない大義名分があるのだから。

■ あの九州からの封筒が、すべての始まりだった

実は夫、私とは再婚。
前妻との間に、子供が1人いる。
もちろん、離婚の際には当時としては破格の1000万円ほどを渡し、
月々の養育費も20歳まで1ヶ月も欠かさず払い続けた。
親としての義務は、経済的にはきっちり果たしたはずよ。
夫がその子と会ったのは、相手が2歳くらいの時が最後。
もう30年以上、言葉も交わしていない。
だけどね、日本の法律というやつは、
そんな「人情」や「過去の清算」なんて1ミリも考慮してくれないの。
夫の名義のまま資産を残しておけば、彼にもしものことがあった時、
その「顔も覚えていない前妻の子」に、きっちり法定相続人としての権利が発生する。
この恐ろしい現実に私が気づいたのは、
ある日、我が家のポストに届いた1通の封筒がきっかけだった。

差出人は、全く見覚えのない九州の田舎の役所。
不審に思いながら開封すると、中から出てきたのは、
これでもかと大きな「家系図」と、田んぼや川が印刷された区画図。
そして、赤くペンで囲まれた一角の土地。

家系図を辿っていくと、
そこには40代で亡くなっていたという、
私の「実の父親」の名前があった。
私の母が父と離婚したのは、私がまだ4〜5歳の頃。
書類が届いた時、私はすでに40代。
実に40年もの歳月が流れ、私は何度も引っ越しをし、
結婚して本籍も名字も変わっていた。
それなのに、日本の戸籍制度という網の目は、
網自体の執念のような正確さで私を見つけ出し、追ってきたのだ。
「あのご先祖様の土地を市に譲渡したいので、相続人全員の印鑑をください。放棄しますっていう判子を」
実の父が生きていれば一瞬で済んだ話が、父が亡くなっているために、
何十年も音信不通だった私や兄の元へやってきた。

私が「嫌だ」と言って判を押さなければ、
九州のその土地の手続きは1歩も前に進まない。

戸籍制度、恐るべし。

■ 感心と同時に、冷たい汗が流れた

感心すると同時に、私の脳裏に冷たい汗が流れた。
「……これ、我が家がそのままいったら、やばいんじゃない?」
夫にもしものことがあった時、
残された私と子供たちの前に、
あの九州の書類と同じように「家系図」が突きつけられるのだ。
しかも、日本の銀行というのは実に律義な機関で、
口座の名義人が亡くなった場合、
相続人全員の同意と実印がなければ、
預金を1円たりとも解約・引き出しできない仕組みになっている。
たとえ30年以上連絡を取っていない相手でも、
法定相続人である以上、その例外はない。

何も知らない私の子供たちの元へ、突然「前妻のお子さん」の存在が知らされる。
それだけじゃない。
夫の預貯金を動かすためにも、
マンションの名義を変えるためにも、会ったこともない相手に連絡を取り、
実印をもらわなければ手続きすらできなくなる。

あちらにすれば「権利」でしょう。
でも、このマンションも、今の資産も、私と夫が30年以上、
必死に共働きをして、節約して、血の滲むような思いで築き上げてきたものよ。
何より、私の子供たちはこの事実を何も知らない。
わざわざ波風を立てて、子供たちの心を傷つける必要なんてどこにあるのかしら。
知らなくていい苦労は、親の代で墓場まで持っていくのが優しさというものよ。
そしてそれは、夫だって同じ気持ちだった。
「子供たちには、今のままでいてほしい。何も知らせたくない」
普段はお金に保守的で、通帳の数字が動くことすら嫌がる夫が、
あの九州からの家系図を見たときには、私と同じように静かに凍りついていたわ。
だから、この資産移動は、
夫もすべてを了承した上での「夫婦共同の隠密作戦」なのだ。

■ 砂時計の砂を落とすように、静かに、着実に

そうと決まれば、私は静かに、しかし着実に動いた。
一気に大金を動かせば、当然そこに税金という名のペナルティが科される。
だからこそ、何年も、本当に何年もかけて、贈与の範囲内(税金が響かないライン)を見極めながら、
夫の口座から私の方へと少しずつ、少しずつ預貯金を移動させていったの。
通帳の数字を、まるで砂時計の砂を落とすようにじわじわと移し替えていく作業は、
なかなかの根気が必要だったけれど、
「子供たちを守るため」と思えば、大した苦労ではなかったわ。
夫も文句ひとつ言わず、その砂が落ちていくのを見守っていた。

さらに仕上げとばかりに3年前、司法書士さんに高い手数料を払って書類を揃え、
おしどり贈与を使ってマンションの名義も完全に私に変えた。
夫の個人資産を500万以下にまで減らしたのは、嫌がらせでも強欲でもない。
「万が一の時、相手にわざわざ連絡を取って実印をねだる」という、
あの悍ましい手続きの手間とリスクを、極限まで削ぎ落とすための、
我が家なりの冷徹な防衛策。

■ 自分の家庭を守ることを、私は恥じない

賛否両論、あるでしょうね。
「前妻の子にももらう権利がある」と正論を吐く人は、
どうぞご自由に。
でもね、自分の家庭を、自分の子供たちを、自分の築いた財産を守るために、
ここまで用意周到に冷徹になれるのが
「母親」であり、そして「夫婦の覚悟」というものよ。

あの九州から届いた1通の家系図は、
今でも私のクローゼットの奥で、静かに警告を鳴らし続けている。


※本記事はあくまで我が家のケースにおける実体験の記録であり、
法律上・税務上の効果を保証するものではありません。
生前贈与やおしどり贈与(配偶者控除)の適用、
また相続対策については、それぞれの家庭の状況によって異なりますので、
必ず事前に専門の税理士や司法書士、弁護士などにご相談ください。


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