
■ もったいないおばけが住む家
わが夫は、もったいないおばけである。
ペットボトルの水は買わない。エアコンは最後の砦。
外食は年に数えるほど。「もったいない」が口癖で、財布の紐は鋼鉄製。
そんな夫が、唯一、ダダ漏れ状態のものがある。
お酒だ。
■ 飲んでは流す、飲んでは流す
夫はよく飲む。そしてすぐトイレに駆け込む。体質なのか、意志の問題なのか、
とにかく飲んだそばから流れていく。
さらに言えば、頻繁にお腹をこわす。
飲む→流れる→また飲む。
この無限ループを眺めながら私はいつも思う。
あなたが溶かしているのは、お酒だけじゃないわよね、と。
■ もったいないおばけのもうひとつの顔
夫はケチゆえか、物は捨てられない。
「もったいない」を大義名分に、ありとあらゆるものを溜め込む。
タダでもらえる粗品は断らず、おまけ付きの商品があれば、中身よりおまけ目当てでカゴに入れる。
客観的に見ればどう見ても必要ないもの、ガラクタにしか見えないものでも、
彼にとっては未来の宝物らしい。
気づけば家の中が、誰も使わないものたちで埋まっていた。
ただ、本当にたまに、ほんとうにたまに、
ガラクタが役に立つ瞬間がある。
そういう時、夫は決まってドヤ顔でこう言う。
「ホラ、俺がこういう時のために取っておいたから」と。
そのひとことで、また21年が続く。
■ 21年間の請求書
そこで夫が出した答えが、トランクルームだった。
月4,000円 × 12ヶ月 × 21年
= 1,008,000円
100万円、超えた。
捨てられなかったモノたちを、100万円かけて保管し続けた21年間。
もったいないおばけが、100万円溶かしていた。
■ どっちがもったいないよ
「財産断捨離のすすめ」という本の広告を見かけた。
精神科医の和田秀樹さんが書いた本で、お金を自分の楽しみのために使うと前頭葉が鍛えられるとある。
私はその広告を眺めながら、トランクルームの請求書を思い浮かべていた。
節約とは、いったい何なのだろう。
使わないものを溜め込んで、保管料を払い続けて、自分は何も楽しまない。
それを「もったいない精神」と呼ぶのだとしたら、私はその言葉を返上したい。
■ 私がやってきたこと
夫がトランクルームに100万円を積み上げている間、
私は別のものを積み上げていた。
配当株だ。
誰にも頼まれていないのに、コツコツと買い続けた。
画面が真っ赤になるたびに心臓が縮んだけれど、手離さなかった。
その結果が、任天堂の増配であり、オリックスの増配であり、その他高配当株たちである。
今年は持ち株のあちこちから「増やします」という知らせが届いた。
配当とはおもしろいもので、じっと持ち続けているだけで、向こうから歩み寄ってくる。
トランクルームの保管料が21年間ただ出ていくだけだったのとは、まるで逆だ。
そして、そのガラクタを処分するのに将来どれだけの時間とお金と労力がかかるのか…
ガラクタを保管するお金があるなら、株を一株でも買えばいい。
100万円あれば、それなりのポートフォリオが組める。
我が家の夫には理解できないらしいけど。
この資産は、いつか子どもたちに渡すつもりだ。
使い方は彼らが決めればいい。
ただ、お金とは「貯める」ためではなく「育てる」ものだと、この21年で私は学んだ。
※本記事は筆者個人の投資経験・考え方をもとに書いたものです。特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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