
もし家事育児をすべて外注したら、いくらかかる?
もし、私がこなしてきた家事や育児をすべて外注していたら、
一体いくらかかると思っているのかしら。
掃除、洗濯、料理、そしてあの壮絶なワンオペ育児。
それらをプロに頼めば、月数十万、年間で数百万。
三十年分を積み上げれば、あなたの退職金なんてあっという間に吹き飛んでしまう計算よ。
その二千万円のうち、半分、いえ三分の二は私の「無償労働」という名の見えない資産が支えたものだということに、
どうして気づかないのかしら。
記憶が飛ぶほどの日々を、私は生き抜いた
私は二十四歳で、新居のそばの小さな会社に正社員として潜り込んだ。
そこからの三十数年は、まさに戦場。
三十年以上前、田舎の小さな会社で「産休明けに正社員として復帰する」なんて、
月の裏側へ行くほどハードルが高いことだった。
公立の保育園なんて、産後二ヶ月の乳児を預かってはくれない。
必死で電話帳をめくり、ベビールームを自力で探し当てたあの日の心細さを、
夫は一ミリでも想像したことがあるだろうか。
首も座らない我が子を抱え、すべてを一人で背負った。
二人目の時も、産前二日まで働き、産後四ヶ月で復帰。
正直に言って、その頃の記憶はほとんどない。
ただ、冬の冷たい空気の中、震えながら赤子を保育所に預け、
会社へ急いだあの足の感覚だけが、皮膚の記憶として残っている。
自分の家の冷蔵庫を開けるのに、通行料を取られる理不尽
それにしても、この国の税制にはほとほと愛想が尽きる。
これほど心身を削り、夫が外で稼げる環境を整えてきたというのに。
その報酬として夫からキャッシュを受け取ろうものなら、
国は「贈与税」という名のみかじめ料を求めてくる。
夫婦で共に作り上げた資産なのに、名義が夫というだけで、
受け取る私が「贈与」を受ける側になるなんて。
自分の家の冷蔵庫を開けるのに通行料を取られるような理不尽さを感じるのは、
私だけかしら。
それでも、黄金の時間があった
ただ、ふと思うこともある。
あの地獄のような忙しさの中でも、子供の柔らかな肌に触れ、
成長を間近で見守れた時間は、何物にも代えがたい「黄金の時間」だった。
仕事一筋で、その一番美味しい部分を味わい損ねた夫は、
ある意味でかわいそうな存在なのかもしれない。
最近、抱っこ紐を前抱きにして歩く「若いお父さん」をよく見かける。
家事も育児も当たり前にこなす彼らの姿は、本当に素晴らしい。
「大変だけど、その時間は一生の宝物になるわよ。頑張って!」
心の中で、彼らに精一杯のエールを送りたくなる。
名義の壁を逆手に取った、最も優雅な復権
定年まであと少し。
私が会社から受け取れる退職金はせいぜい五百万円ほど。
けれど、これは血と汗と、そして「記憶が飛ぶほどの眠気」と引き換えに守り抜いた、
純度の高い私の勲章。
夫はとうの昔に二千万近い退職金を受け取り、今も「俺の金」のような顔をしているけれど、
令和の「小金持泰子」は、もう黙って見過ごしたりはしない。
直接のキャッシュ移動が税金で阻まれるなら、
生活費は夫の口座に任せ、私の五百万円と配当金は「私だけの聖域」として静かに育てていく。
名義の壁を逆手に取って、私の資産を聖域化する……
これこそが、長年虐げられてきた私が辿り着いた、
最も優雅な復権。
冬の朝の涙が、今や配当金になった
あの頃、冬の朝に流した涙。
あの涙の粒は、今や一株の配当金となり、
一円の節税知識となって私を守ってくれている。
定年を迎えたその日から、私は「妻」や「母」という役割を半分脱ぎ捨て、
誰にも邪魔されない自由な時間へと足を踏み入れる。
さあ、まずは何から始めようかしら。
とりあえず、あの頃買えなかった、
とびきり贅沢な時間から手に入れることに決めている。
※本記事は筆者個人の投資経験・考え方をもとに書いたものです。特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

世の中に本当の意味で『無料』なものなんて存在しないわ。良質なものをいただいたら、それに見合った感謝を形にする。それが大人の礼儀というものでしょう。私の毒、受け取っていただけたかしら?
